Tamasaburo Bando V

第27回(2011)受賞

思想・芸術部門

映画・演劇

五代目 坂東 玉三郎

/  歌舞伎俳優

1950 -

記念講演会

私の考える舞台芸術

2011年

11 /11

会場:国立京都国際会館

ワークショップ

玉三郎の美の世界

2011年

11 /12

13:00~16:00

会場:国立京都国際会館

業績ダイジェスト

歌舞伎を中心に舞台芸術の諸ジャンルの枠を越えて活躍する華麗な美の創造者

歌舞伎の女形としてそれまでにない独特な世界を展開し、梨園の生まれではないにもかかわらず、立女形(たておやま)の地位を確立すると同時に、演劇・舞踊の分野の枠を越えた多彩な活動を国内外で繰り広げ、高い芸術的水準で多くの観客を魅了し続けている。

贈賞理由

坂東玉三郎丈は、梨園の生まれではないにもかかわらず、実質的に現在の歌舞伎の立女形(たておやま)の位置にある。だがその活躍は歌舞伎にとどまらない。

歌舞伎においては、1969年に三島由紀夫の新作歌舞伎『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』の白縫姫(しらぬいひめ)に抜擢され、翌年『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)・御殿』のお三輪で注目されて以来、『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の政岡、『妹背山婦女庭訓・山の段』の定高(さだか)、『仮名手本忠臣蔵』の戸無瀬(となせ)において立女形の地位を確立し、また鶴屋南北の『桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)』や『於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)』で、それまでにない独特な世界を展開して見せた。それと同時に、1975年には新派に単身参加して初代水谷八重子と泉鏡花の『稽古扇(けいこおうぎ)』を共演、翌年にはシェイクスピアの『マクベス』のマクベス夫人を演じ、1981年にベンジャミン・ブリテンが能の『隅田川』をベースにした『カーリュー・リヴァ-』に出演するなど、他のジャンルにも積極的に参加する活動も続けた。1984年、メトロポリタン歌劇場の開場100周年記念ガラ公演に招待され、シャンソンのイヴ・モンタン、バレエのルドルフ・ヌレエフやマーゴ・フォンテーン、オペラのプラシド・ドミンゴらに伍して、日本の代表として『鷺娘』を披露したことにより、世界的に広く注目されるようになった。

それ以後、1988年に文学座が杉村春子主演で初演した有吉佐和子の『ふるあめりかに袖はぬらさじ』に出演、1997年に木下順二の『夕鶴』で主役を演じ、2007年には自身の監修・演出による歌舞伎座初の1ヶ月の泉鏡花尽くしの公演を実現させる一方、1988年にモーリス・ベジャール振付の『ベジャール・バレエ・ガラ』に参加、翌年アンジェイ・ワイダ脚本・演出の『ナスターシャ』に主演し、1998年、バレエのミハイル・バリシニコフとジョイント公演、2008年には中国江蘇省蘇州昆劇院(こんげきいん)に単身参加して北京での昆劇の『牡丹亭』に主演するなど、国際的にも広く活躍した。また映画の監督・出演や、和太鼓グループ・鼓童との共演も続けている。歌舞伎の女形(おんながた)を立脚点に、演劇・舞踊の分野の枠を越えてこれほど多彩な世界を展開し、芸術的にも高い水準で多くの観客を魅了し続けている俳優は、他に例を見ない。

以上の理由によって、坂東玉三郎丈に思想・芸術部門における第27回(2011)京都賞を贈呈する。

プロフィール

略歴
1950年
東京都生まれ
1957年
坂東喜の字を名乗り初舞台
1964年
五代目坂東玉三郎を襲名
1969年
『椿説弓張月』(三島由紀夫作)の白縫姫を演じる
1975年
『桜姫東文章』の桜姫を演じる
1984年
メトロポリタン歌劇場100周年記念公演に招聘され、舞踊『鷺娘』を上演
1988年
モーリス・ベジャール振付の『ベジャール・バレエ・ガラ』に出演
1989年
アンジェイ・ワイダ演出の舞台『ナスターシャ』に主演
1991年
『外科室』で映画を初監督
1995年
『伽羅先代萩』の政岡を演じる
2008年
昆劇『牡丹亭』を北京で上演
主な受賞・栄誉
1991年
フランス芸術文化勲章シュバリエ章
1997年
モンブラン国際文化賞、モンブラン文化財団
1997年
毎日芸術賞、毎日新聞社
2009年
菊池寛賞、日本文学振興会
主な当たり役
『桜姫東文章』 桜姫
『鳴神(なるかみ)』 雲絶間姫(くものたえまひめ)
『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』 揚巻(あげまき)
『伽羅先代萩』 政岡
『壇浦兜軍記』 阿古屋
『鷺娘』 鷺の精
『天守物語』 富姫

プロフィールは受賞時のものです

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