第38回(2023)
京都賞の受賞者による記念講演会を京都で開催します。受賞者の功績だけでなく、人生観や人柄にも触れられる貴重な機会です。その分野で世界の最高峰にいる受賞者がエピソードを交えながら語ります。ぜひご参加ください。
*先端技術部門受賞者の柳町隆造博士が9月28 日(日本時間)に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
11月11日の記念講演会は、一部プログラムの内容を変更して実施いたします。
2023年
11 /11 土
13:00〜16:00
第38回(2023) 京都賞受賞者
講演テーマ
受賞者逝去に伴い、柳町博士にゆかりの深いお二人が、博士のお人柄やご業績を振り返りました。
業績解説
阿久津 英憲
(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所再生医療センターセンター長)
小倉 淳郎
(国立研究開発法人理化学研究所バイオリソース研究センター副センター長)
講演要旨
*受賞者逝去に伴い、プログラム内容を変更してお届けします。
私が生まれ育ったのは北海道で、そこでの暮らしから自然が大好きになりました。はじめ私は土木工学を学んだのですが、自然の美しさと秘密をもっと知りたいという自らの情熱に従い、基礎科学の道に進むべく北海道大学理学部に入り直しました。大学ではウニの受精過程に魅了されました。魚の受精や寄生性フジツボ類の生活環を研究しているうちに、哺乳類の受精についてはほとんど知られていないことに気付きました。そして幸いなことに、「哺乳類の体外受精の父」こと、米国のM・C・チャン博士のポスドクとして研究することができました。ハワイ大学に移ってからは、私の研究の大半は哺乳類の受精と関連テーマを扱うものでした。その中で得られた私の基礎研究の成果、例えば精子を卵子に直接注入する顕微授精などは、精子と卵子の隠された能力を解明し、さらには人間の不妊に関するいくつかの問題を克服することに寄与できたと思います。
講演テーマ
物理学と数学の世界を歩んだ人生
講演要旨
最初はエンジニアを志す者として、次に物理学者として、そして後には数学者・数理物理学者として、私が科学の世界で歩んできた70年にわたる旅について簡単にお話ししたいと思います。私はさまざまな研究分野での同僚たちとの数々の出会いを通じて、物理学の理解を深めるのに数学や数学的な視点が極めて重要であることを学びました。研究を始めた頃は、このような数学と物理学の根底的なつながりが必ずしも受け入れられていたわけではなく、一部の数学者や物理学者から激しく否定されることさえありました。ここでは理論物理学、そして純粋数学にとっての数理物理学の価値を知っていただくために、私の研究をいくつか紹介したいと思います。一つは1957年に京都で山崎和夫氏と一緒に発見したポーラロンのエネルギーの下限です。もう一つは「氷の問題」です。私は、隣り合うマスに同じ色が来ないようにしてチェス盤を3色だけで塗り分ける方法が何通りあるかを計算したのです。
講演テーマ
私には私のリアリティがある
講演要旨
私はアーティストとして、自分の人生は社会や人類の進歩に貢献するものであれと信じてきました。21世紀における私たちの未来は、稲盛和夫氏が思い描いたように、科学の発展と人類の精神的深化のバランスだけでなく、精神的深化の再検討をこそ必要としています。中でも、その女性的な面を認識することにより、今まさに必要とされている新しい哲学的パラダイムが明らかになるでしょう。ギリシア神話に登場するカッサンドラは、真実を予見することができたにもかかわらず、決して誰からも信じてもらえませんでした。ここに象徴される人間の精神の女性的な面は、私たちの目を開き、そこに見える未来が抑圧されることさえなければ、人は生きる意味を理解し、新しい文明的価値を構築しながら、その意味をより人道にかなうものへと導くことができるでしょう。
12:00 | 開 場 |
13:00 | 開 会 挨拶:金澤 しのぶ(稲盛財団 理事長) |
13:05頃 | 受賞者講演 エリオット・H・リーブ(基礎科学部門) 「物理学と数学の世界を歩んだ人生」 |
14:00頃 | 受賞者業績解説*(先端技術部門)
阿久津 英憲(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所再生医療センターセンター長) |
14:50頃 | 休 憩(20分) |
15:10頃 | 受賞者講演 ナリニ・マラニ (思想・芸術部門) 「私には私のリアリティがある」 |
16:00 | 閉 会 |
*先端技術部門受賞者の柳町隆造博士にゆかりの深いお二人が、博士のお人柄やご業績を振り返ります。
*各講演後には、ナビゲーターの住吉美紀さん(元NHKアナウンサー/フリー)が私たちの目線に立って、講演内容や人生観などについてご本人や講演者に問いかける予定です。
■主催:公益財団法人 稲盛財団
■後援:京都府 京都市 京都府教育委員会 京都市教育委員会 京都商工会議所 大学コンソーシアム京都 京都新聞 朝日新聞社 毎日新聞社 読売新聞社 日本経済新聞社 産経新聞社 共同通信社 時事通信社 NHK KBS京都 エフエム京都
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