10月29日、ウィリアム・ケントリッジ演出によるオペラ『魔笛』(モーツァルト作)が、ロームシアター京都にて上演されました。本公演は、新国立劇場が主催する「高校生のためのオペラ鑑賞教室」の関西公演で、高校生にオペラの素晴らしさを伝えるためのプログラムとして企画されたものです。会場は参加した多くの高校生で満席となりました。
幕開け、ケントリッジが手がけたアニメーションが舞台を彩ると、会場からは驚きの声とともに盛大な拍手がたびたび沸き起こりました。ケントリッジの特徴的な表現手法である「ドローイング・アニメーション」は白と黒を反転して映し出され、光と闇の関係をより象徴的に演出しているようでした。光は闇にもなりうる、その反転関係は、ケントリッジの登場人物、ひいては彼ら/彼女らの置かれた社会への解釈にもつながっているのかもしれません。
京都公演の演奏は、京都賞授賞式でも祝典序曲などを演奏していただいている京都市交響楽団。生演奏はオペラの醍醐味のひとつです。舞台から響く歌声と演奏、そしてドローイング・アニメーションが一体となり、耳だけでなく視覚的にも楽しめるオペラ作品として、若い観衆を大いに魅了していました。