第37回(2022)
科学の発展と人類の精神的深化に卓越した貢献をされた、京都賞受賞者の方々のお話を間近で聴くことができる講演会です。 研究内容・業績についてはもちろん、「人生観」「価値観」「考え方」など、受賞者の方の人柄に触れられる、貴重な機会です。 今回は新型コロナ感染の拡大防止のため、オンラインで動画を配信します。ぜひご覧ください。
2022年
11 /10 木
10:00配信スタート
会場:※今年はオンライン配信です。こちらの特設ウェブサイトでご覧になれます。
第37回(2022) 京都賞受賞者
講演テーマ
情報革命の時代を生きて
講演要旨
何百万個ものトランジスタを搭載した複雑な集積回路を設計し、その製造に必要なマスクパターンを生成することが実用上可能になるまでには、数多くのイノベーションが必要でした。まず、半導体製造関係者が、トランジスタが極めて小さくなっても正常に機能するということをはっきり認識しなければなりませんでした。次に、機能設計、アーキテクチャ設計、論理設計、回路設計、マスクの図形パターン設計など、設計の全ての過程を人手ではなく、コンピュータプログラムにより記述する設計上の枠組みが必要でした。また、そのような枠組みでは、各過程の相互関係を包括的に捉える方針に沿って、設計の全過程が進められていくのです。それから、コンピュータによって精密なマスクパターンを作り出すための、パターン生成コードを作成するコンピュータツールも必要でした。このような設計上の枠組みにより、実際に使えるVLSIチップを作り出せることが示された後は、専門家でなくても理解できるような、実際の集積回路に関する統一した見方が形づくられ、それまでの蓄積が全て大学教育に取り入れられることになったのです。その結果、世界は変わっていったのです。
講演テーマ
感染症の時間的・空間的ダイナミクスをよみとく─ 疫学・進化学の視点から ─
講演要旨
私はこれまでの研究人生を通じて、感染症の個体群動態や進化に取り組んできました。この講演では、感染症の流行と、そのダイナミクスが明確に現れている膨大な長期データセットを紹介することから始めます。免疫反応を引き起こす急性感染症の流行ダイナミクスの好例として、はしかを取り上げます。次に、私が取り組んできた主に三つの研究テーマについてお話しします。第一に、私は共同研究者と共に小児感染症、特にはしかについて、非線形の時間的変動を調べました。私たちは単純な数理モデルと感染データの時系列解析を用いました。これによって、変動したり時にはカオス的に振る舞ったりする流行の時間変化が説明できました。また、季節性や人口動態に関わる要因、そしてワクチン接種がそのパターンに与える影響も明らかになりました。第二に、地域的レベルでの流行の時空間ダイナミクスと、局所集団で流行が持続するかどうかを決める要因を分析しました。第三に、インフルエンザやSARS-CoV-2などの不完全な免疫しか得られない病原体の進化的ダイナミクスについて調べました。私は、その時に最も広く行き渡っている免疫を回避するようなウイルス変異株を作り出す疫学的特徴とウイルスの進化の相互作用を表すため、「ファイロダイナミクス」という言葉を作りました。それ以来、ファイロダイナミクスという考え方は、病原体の進化に関するさまざまな問題に適用されてきました。最後に、私のキャリアから得られた教訓、特に学際的な共同研究の力と楽しさについて述べてこの講演を終えたいと思います。
講演テーマ
第37回京都賞 思想・芸術部門 受賞記念講演・パフォーマンス
講演要旨
記念講演・パフォーマンスとして、受賞者が、北インド古典音楽とタブラーについて講演するとともに、ウズベキスタンとイランの打楽器奏者を加えて演奏を行ったものです。 記念講演 ザーキル・フセイン パフォーマンス ザーキル・フセイン(タブラー) アッボス・コシモフ(ドイラ) ページャム・アハヴァース(トンバク)
お問い合わせ
ご不明な点がございましたら
フォームよりお問い合わせください。
TEL:075-746-2523 [受付時間:平日(月~金)10:00~16:00]