Zakir Hussain
第37回(2022)受賞
音楽
/ タブラー奏者
1951 -
第37回京都賞 思想・芸術部門 受賞記念講演・パフォーマンス
2022年
11 /10 木
10:00配信スタート
会場:※今年はオンライン配信です。こちらの特設ウェブサイトでご覧になれます。
ヒンドゥスターニー音楽を代表するタブラー奏者であり、インド伝統音楽の枠組みを超えて世界中のさまざまなジャンルの音楽家と共演して新しい音楽世界を切り開いた。超絶技巧、魅力的なパフォーマンス、そして豊かな創造性により、世界の音楽家たちに絶大なインパクトを与えている。
ザーキル・フセインは、20世紀後半以降のヒンドゥスターニー(北インド古典)音楽を代表するタブラー奏者であり、インド伝統音楽の枠組みを超えて世界中のさまざまなジャンルの音楽家と共演して新しい音楽世界を切り開いた。従来リズム伴奏楽器であったタブラーで旋律を奏でる奏法を考案するなど、彼の革新的な創造力によって楽器の音楽的可能性が著しく広がり、タブラーは世界で最もポピュラーなアジアの楽器の一つとして定着した。
1951年、著名なシタール奏者ラヴィ・シャンカルのタブラー伴奏で知られるアッラー・ラカーの息子としてインドで生まれ、幼い頃にデビューして神童として知られるようになった。1970年にシャンカルのUSツアーに同行して以来、次々と著名ヒンドゥスターニー音楽演奏家の伴奏を務め、豊かな創造性に基づく超絶技巧によってこの楽器の魅力を最大限に引き出し、インドを代表するタブラー奏者の地位を築いた。
ジャンルを超えた多くの音楽家とのコラボレーションでは主導的役割を果たした。ギタリストのジョン・マクラフリン、カルナータカ(南インド古典)音楽演奏家と結成したフュージョン・グループ、シャクティの活動は、インド音楽の新たな側面を開いた。それは熱心な後進指導とも相まって、世界中にタブラー奏者を生み出す原動力となった。打楽器奏者ミッキー・ハートによる世界各地の打楽器音楽創作プロジェクトにも参加し、その成果はアルバム『プラネット・ドラム』(1991)、『グローバル・ドラム・プロジェクト』(2007)となって結実し、グラミー賞各部門賞を獲得した。さらに、複数のタブラー奏者による音楽創作プロジェクト、タブラー・ビート・サイエンスの世界ツアーや、BBC交響楽団との共演など西洋芸術音楽とのコラボレーションでも大きな成功を収めている。
ザーキル・フセインは、タブラーを操る超絶技巧、人を惹きつけてやまない魅力的なパフォーマンス、それを裏付ける豊かな創造性により、インド国内はもとより世界各地のジャンルを超えた音楽家たちに絶大なインパクトを与えてきた。その半世紀を超える活動が及ぼした影響は計り知れない。
以上の理由によって、ザーキル・フセインに思想・芸術部門における第37回(2022)京都賞を贈呈する。
プロフィールは受賞時のものです