John McCarthy
第4回(1988)受賞
情報科学
/ 人工知能学者
1927 -2011
スタンフォード大学 教授
人工知能(AI)の分野でその創成期から現代までリーダーの役割を続け、「人工知能の父」と呼ばれている科学者。計算機科学の世界における今世紀最大の発明と言われる、記号処理用プログラミング言語「LISP」を創造した。
[受賞当時の対象分野: 情報科学・計算機工学・人工知能]
ジョン・マッカーシー博士は、1927年にボストンに生まれ、16歳でカリフォルニア工科大学に入り、学生時代にすでに人工知能(A.I.)の研究に興味を持った。彼はプリンストン大学の大学院時代から現在まで、計算機科学の研究の一つである“人工知能”の分野の先駆者としてその基本問題に挑戦し、この分野のリーダーの役割を続けている。 博士の業績の中で第一に挙げられるのは、「常識を用いた推論」の研究で、人間に匹敵する推論の機能を計算機にもたせるため常識に関する推論の論理を定式化した。この分野では1950年代から最近まで一貫して新しい論理を提唱し、その発展に貢献している。
また、博士の業績の中でも記号処理用プログラミング言語LISPの創造が最も有名である。従来の数値処理用のプログラム言語にくらべ、LISPは記号処理を効率的に実行するために作られ、現在人工知能の研究にもっぱら用いられている。また、この考えが現在のプログラミング言語に与えた影響は大きい。
このほか、博士は現在のソフトウェア科学の基礎となる計算理論について数多くの論文を発表している。
一方、コンピューター工学の分野では、時分割処理(Time Sharing System, Tss)の基礎概念を提唱し、その製作に加わっているが、これは現在の大型コンピューターの発展に道を開いたものとして高く評価されている。
以上の学問的貢献の上に、博士は1958年MITに人工知能の最初のプロジェクトを発足させ、Artificial Intelligence Lab.を作ったほか、スタンフォード大学に移ってからも、同大学にA.I.Lab.を作っている。
博士は1983年からアメリカ人工知能学会の会長を務め、後進の指導と学界の発展につくし、数々の賞も受けている。
以上のことより、ジョン・マッカーシー博士は京都賞にふさわしい科学者と認める。
プロフィールは受賞時のものです