John McCarthy

第4回(1988)受賞

先端技術部門

情報科学

ジョン・マッカーシー

/  人工知能学者

1927 -2011

スタンフォード大学 教授

記念講演会

人工知能の論理と哲学

1988年

11 /11

会場:国立京都国際会館

ワークショップ

論理、人工知能及び常識推論

1988年

11 /12

13:10~17:00

会場:国立京都国際会館

業績ダイジェスト

人工知能研究への根幹的貢献とプログラミング言語「LISP」の発明

人工知能(AI)の分野でその創成期から現代までリーダーの役割を続け、「人工知能の父」と呼ばれている科学者。計算機科学の世界における今世紀最大の発明と言われる、記号処理用プログラミング言語「LISP」を創造した。

[受賞当時の対象分野: 情報科学・計算機工学・人工知能]

贈賞理由

ジョン・マッカーシー博士は、1927年にボストンに生まれ、16歳でカリフォルニア工科大学に入り、学生時代にすでに人工知能(A.I.)の研究に興味を持った。彼はプリンストン大学の大学院時代から現在まで、計算機科学の研究の一つである“人工知能”の分野の先駆者としてその基本問題に挑戦し、この分野のリーダーの役割を続けている。 博士の業績の中で第一に挙げられるのは、「常識を用いた推論」の研究で、人間に匹敵する推論の機能を計算機にもたせるため常識に関する推論の論理を定式化した。この分野では1950年代から最近まで一貫して新しい論理を提唱し、その発展に貢献している。

また、博士の業績の中でも記号処理用プログラミング言語LISPの創造が最も有名である。従来の数値処理用のプログラム言語にくらべ、LISPは記号処理を効率的に実行するために作られ、現在人工知能の研究にもっぱら用いられている。また、この考えが現在のプログラミング言語に与えた影響は大きい。

このほか、博士は現在のソフトウェア科学の基礎となる計算理論について数多くの論文を発表している。

一方、コンピューター工学の分野では、時分割処理(Time Sharing System, Tss)の基礎概念を提唱し、その製作に加わっているが、これは現在の大型コンピューターの発展に道を開いたものとして高く評価されている。

以上の学問的貢献の上に、博士は1958年MITに人工知能の最初のプロジェクトを発足させ、Artificial Intelligence Lab.を作ったほか、スタンフォード大学に移ってからも、同大学にA.I.Lab.を作っている。

博士は1983年からアメリカ人工知能学会の会長を務め、後進の指導と学界の発展につくし、数々の賞も受けている。

以上のことより、ジョン・マッカーシー博士は京都賞にふさわしい科学者と認める。

プロフィール

略歴
1927年
マサチューセッツ州ボストンに生まれる
1948年
カリフォルニア工科大学 卒業
1950年
プリンストン大学 学生監
1951年
プリンストン大学 博士号取得
1951年
プリンストン大学 研究所講師
1953年
スタンフォード大学 臨時助教授
1955年
ダートマス大学 助教授
1958年
マサチューセッツ工科大学 助教授
1961年
マサチューセッツ工科大学 準教授
1962年
スタンフォード大学 教授
主な受賞・栄誉
1961年
国際計算機学会(ACM)特別講演
1971年
国際計算機学会(ACM)チューリング賞
1977年
Sigma Xi 特別講演
1985年
人工知能国際会議(IJCAI)研究特別賞
主な論文・著書
1956年
『自動機械研究』(C.E.シャノン共著)
1958年
『常識を持つプログラム』
1962年
『時分割計算方式』
1974年
『人工知能』
1977年
『LISPの歴史』
1980年
『非単調論理の定式化』

プロフィールは受賞時のものです