Ivan Edward Sutherland
第28回(2012)受賞
情報科学
/ コンピュータ科学者
1938 -
ポートランド州立大学 客員研究員
情報提示のためのコンピュータグラフィックス技術と、それを用いて、プログラミングすることなくコンピュータを使うことのできる対話的インタフェースの発展に先駆的かつ根幹的な貢献を行った。
アイバン・エドワード・サザランド博士は、情報提示のためのコンピュータグラフィックス技術と、それを用いて、プログラミングすることなくコンピュータを使うことのできる対話的インタフェースの発展に先駆的かつ根幹的な貢献を行った。
コンピュータグラフィックスは、映画やゲームなどの娯楽、教育教材、科学技術シミュレーション、産業界での設計支援などに幅広く使われている。今日のコンピュータグラフィックスの発展は、1963年にサザランド博士が開発した「スケッチパッド」が起点となっている。このシステムは画面上の図形を指示デバイスで直接的に操作するもので、その対話的インタフェースは時代を遥かに超えた先進的なものであった。スケッチパッドは、描画対象を、構成部品とその相互関係で表すことによって、粗いスケッチから正確な図面を自動的に生成することができた。これは現在のCAD(コンピュータ支援設計)システムの源流をなすものである。
サザランド博士は、また、大きさの限られた画面上に、描画対象のどの線分や面を表示すべきかを決定する方法など、コンピュータグラフィックスの基本アルゴリズムを数多く考案している。さらに、最初のヘッドマウント3次元ディスプレイシステムである「ダモクレスの剣 (The Sword of Damocles) 」の開発を行い、バーチャルリアリティの世界を切り拓いた。
サザランド博士は、大学での研究活動にとどまらず、企業での製品開発にも積極的に取り組んだ。1968年にユタ大学の同僚と共に、エバンス・アンド・サザランド計算機社を設立し、コンピュータグラフィックスワークステーションESVシリーズなどを開発した。サザランド博士の研究グループは、シリコングラフィックス社、ピクサー・アニメーション・スタジオやアドビ システムズ社の創立者をはじめ、多くの優れた人材を輩出している。
これらの業績からコンピュータグラフィックスの父とも呼ばれるサザランド博士は、コンピュータの対話的利用を可能とする世界の創出に多大な貢献をした。
以上の理由によって、アイバン・エドワード・サザランド博士に先端技術部門における第28回(2012)京都賞を贈呈する。
プロフィールは受賞時のものです