第39回(2024)京都賞の受賞者が決まりました!

先端技術部門

 

ジョン・ペンドリー
John Pendry
理論物理学者
インペリアル・カレッジ・ロンドン 理論固体物理学教授
メタマテリアルの理論構築による材料科学分野への貢献
対象とする電磁波の波長より小さな微細構造体を設計することにより、負屈折材料など自然界に存在しない性質を持つ物質(メタマテリアル)が実現できることを理論的に示し、サブ波長の解像度を持つ「スーパーレンズ」や「透明マント」等の革新的材料を生み出すための基盤を築いた。
受賞を受けて
科学の分野で最も権威のある賞の一つである京都賞を受賞し、大変光栄に思います。私一人だけの力で成し遂げられたことはほとんどありません。この場をお借りして、私の学生、共同研究者、同僚をはじめ、この賞で認めていただいた研究にさまざまな形で貢献してくださった全ての方々にお礼を申し上げます。

基礎科学部門

 

ポール・F・ホフマン
Paul F. Hoffman
地質学者
ビクトリア大学(カナダ) 客員教授
ハーバード大学 スタージス・フーパー地質学名誉教授
生命進化の加速につながった全球凍結と地球史前半までさかのぼるプレートテクトニクスの実証
50年以上に及ぶ北極圏カナダとアフリカにおける膨大で徹底したフィールド調査から得た地質学的証拠により、多様な生命にあふれる今日の地球表層環境を作り出すことになった要因である「全球凍結」と「プレートテクトニクス」に関して画期的な業績を挙げた。
受賞を受けて
名誉ある京都賞の歴代の受賞者に名を連ねることができ、感極まる思いです。京都からはほど近いところで四つのプレートが押し合っています。すなわち、ユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートです。北西太平洋は、プレートテクトニクスの原動力が初めて明らかになった場所であり、この力によって、現在の個々の大陸が形成されました。地質学によって示されるのは、プレートテクトニクスが何十億年にもわたってさまざまに作動し続け、その中で生命や高度な文明が形づくられてきたということです。そしてまた、ローカルな原因が、必ずしも望ましいとは言えないものをグローバルな帰結としてもたらすかもしれないということを。

思想・芸術部門

 

ウィリアム・フォーサイス
William Forsythe
振付家
舞踊の技法と美学を根底から刷新し、身体表現の新たな地平を開いた振付家
ウィリアム・フォーサイスは、伝統的なバレエの表現技法、構造、規範を深く考察することでその概念を拡張し、実践を豊かにし、舞踊形式の将来にわたる可能性を一新した振付家である。舞踊実践を支える論理に革新的なアプローチを行うことにより、組織化された身体運動による意味の生成過程を問い直し続けている。
受賞を受けて
京都賞の授賞というこの非常に重大な承認の「身ぶり」を寛大にも示してくださった稲盛財団に最大限の敬意と謝意を表したいと思います。この意義深い栄誉を授ける役割を果たしていただいた京都賞審査機関の皆さま、そして協働が極めて重要なこの芸術領域において、私を支え、刺激を与えてきてくれた全ての人々に心から感謝申し上げます。諸芸術の中で最も一回性の高い領域に対する、このグローバルに重要な「身ぶり」が振付という、その場で消え去ってしまい、繰り返すことの困難な行為に人生を捧げる探求者たちの国際的な共同体を鼓舞してくれると信じています。

 

主催行事

 

授賞式 2024年11月10日(日) 国立京都国際会館

高円宮妃久子殿下のご臨席を仰ぎ、各国大使、総領事をはじめ、国内外から多くの招待者が集い、受賞者の栄誉を讃えます。式典では受賞者に京都賞(メダル、ディプロマ、賞金)が贈られます。

共同記者会見 2024年11月10日(日) 国立京都国際会館

授賞式直後に3部門の受賞者を囲んで記者会見を行います。

晩餐会 2024年11月10日(日) ザ・プリンス 京都宝ヶ池

授賞式に引き続き高円宮妃久子殿下のご臨席のもと、国内外から多くの来賓が一堂に会し、晩餐会が催されます。

記念講演会 2024年11月11日(月) 国立京都国際会館

受賞者の業績だけでなく人生観や人柄にも触れられる、一般の方々を対象にした講演会です。その分野で世界の最高峰にある受賞者が、エピソードも交えながら、聴衆に語ります。各講演後には、インタビュアーが私たちの目線に立って、講演内容や人生観などについて受賞者に問いかけます。

海外での関連行事

 

京都賞シンポジウム 2025年3月11日(火)~13日(木) 米国カリフォルニア州サンディエゴ

2002年より米国カリフォルニア州サンディエゴ市にて京都賞受賞者を招いたシンポジウムを3月に開催しています。現在は地元 NPO の京都賞シンポジウム組織と2大学(カリフォルニア大学サンディエゴ校、ポイント・ロマ・ナザレン大学)が主催しています。

Kyoto Prize at Oxford 2025年5月6日(火)・7日(水) 英国オックスフォード大学

英国オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院が、京都賞受賞者を招き、公開講演会やパネルディスカッションなど知的好奇心に富んだ多彩なプログラムを2017年より5月に開催しています。

関連情報