東京・六本木のワコウ・ワークス・オブ・アートでは、ことし京都を受賞した美術家ジョーン・ジョナスの個展『Simple Things』が、12月26日まで開かれています。
同展では、2つの映像作品《Flawless Decoys 完璧なおとり》(2017)、《Beautiful Dog 美しい犬》(2014)と、1つのパフォーマンス記録映像《Reanimation Performance (Milan) リアニメーションのパフォーマンス(ミラノ)》(2014)を通して、身体、運動、物語、自然といった彼女の生涯にわたる関心をテーマとした作品を楽しむことができます。
ジョナスは、1970年の来日時にポータブルビデオカメラを購入したことをきっかけに、70年代初頭からパフォーマンスとニューメディアとの融合を実践してきました。《Beautiful Dog》には、愛犬Ozuも登場。その首元につけられたGoProという手のひらサイズのビデオカメラによって撮影された映像は、独特の世界観と解釈をわたしたちに与えます(ちなみに、Ozuは彼女の好きな映画監督である小津安二郎に由来)。京都賞ワークショップでは、新しいテクノロジーとの向き合い方について「自分なりの特殊効果を試しながら、今後も実験を続けていきたいと思っています」と語ったジョナス。現代美術の先駆者として走り続け50年以上たった今なお、新たなメディアを積極的に取り込む作品群や、唯一無二の表現を試みる美術家としての彼女の生き様も垣間見られる展覧会となっています。
2019年には京都において、ジョナスの日本におけるイベントとしては過去最大規模となる<単独パフォーマンス公演>と<展覧会>を、稲盛財団が主催いたします。現代美術界のレジェンドがどのような未来を切り拓くのか、どうぞお楽しみに。